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しかも大幅な修正を加えたせいで当日に間に合わなかった罠。
めでたい日に出すのもアレなので、ついでに細かい修正を加えて後日に出します。
作業BGM:
深海の孤独(桑島法子)
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宣言通り、先日のSSの続きを書き上げました。
更に普段と様子が違うというか、むしろ暗いので要注意ですが。
それでも無問題な方だけ、どうぞという事で。
学校の帰り道。
通りがかった花屋さんで、白い薔薇が目に留まった。
まるで雪のような色をしたその花から、どうしても目が離せなくて。
そうしている内に、店員さんに何かお探しですか、と声を掛けられた。
驚いた私は、思わず白い薔薇を一輪くださいと言ってしまった。
……多分、その時の私は少し声が裏返っていたと思う。
それでもその店員さんは笑わずに、むしろ親切な接客をしてくれたけれど。
そして今、その白い薔薇は私の部屋に唯一在る花瓶に活けられている。
「……はぁ」
机に頬杖をついて、溜息をつく。
先月から刺繍をしていた物は、丁度良い大きさだったので花瓶の下に敷いた。
透明な硝子で出来た花瓶に、白い敷物は比較的合っていると思う。
ただ、次々と思い浮かんだ花を刺繍していったのでバランスはあまり良くない。
最初に縫った桜の花は、ちょっと形が歪んでいる気もする。
今回は練習のようなものなので仕方ないと言えば仕方ないが、少し悔しい。
……次の作品は、もっとバランスを考えて刺繍をしよう。
「……なんて、ね」
現状に満足せず、常に目標を立て、それに向かって突き進む。
そしていつも明るく、笑顔で居るように。
非常に前向きなそれは、自身がそう在りたいと望んで始めた事だ。
……最初は、ある人物の模倣をしていただけだったのだが。
始めはぎこちなかったそれも、今では随分と自身に馴染んだ。
……ただ、どうしても一人になると色んなものが抜け落ちてしまう。
何が、と言われても困るが……判り易いのだと、表情だろうか。
勿論意識してさえいれば、学校に居る時のように振る舞う事は可能だった。
実際、普段は部屋に戻ってもそうするよう心掛けてきていた。
――では、何故今まで出来ていた事が出来なくなったのか?
その回答として、私は花瓶の横に置かれた写真立てに目を遣る。
写真立てには、三人の人物が笑っている姿が写された写真が一枚入っていた。
三人の人物の内、二人は男性だ。
眼鏡を掛けた男性に、黒髪の……彼の年齢的には、少年と言った方が正しいか。
男性は無造作に長く伸びた茶髪を後ろで束ねているが、彼の髪は短い。
服も洗い晒したシャツにジーンズと、いかにも現代の少年らしい格好だ。
逆に、眼鏡を掛けた男性は落ち着いた色合いの和服を身に纏っている。
そして、同じく和服を着た少女が……私が、二人の間に立っている。
――とても幸せそうな、満面の笑顔で。
「……一年、経ったのね」
一年も、経ってしまった。一年しか、経っていない。
相反する思いを込めて、ただ一言だけ呟く。
きっと、私は一生この日を忘れる事は無いのだろう。
……絶対に、忘れたりなんてしない。忘れる事なんて、許さない。
だから、あの人の笑顔も、言葉も、手の温もりさえも。
あの人の全てを、ずっと憶えていようと。……そして。
「……もう、二度と」
私はそれ以上の言葉は紡がず、ただ黙って白い薔薇を見詰めた。
壁に掛けた時計は無機質な音を立てて、時が進んでいる事を主張する。
……もうすぐ、二月二十七日が終わる。
――今日は、あの人の命日だった。
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(以下、背後)
……えっと、そういう事でした。
実は色々細かい設定を考えるのが好きで、こっそりこんな設定まで。
ついでに言うと、比較的自重してマイルドにしました。
自重しなかったら割と怖い事になっていたと思われます、多分。
ちなみに、眼鏡の男性の方が先日メールを送った人だったり。
……もう一人は、察してくださいとしか(目を逸らし)